古い管理会社の共有フォルダから、短い監視カメラ映像がいくつか見つかった。
場所は、東京都内の単身者向けマンション。
映像自体は数十秒から数分程度で、玄関ホール、エレベーター前、4階廊下が中心だった。

試しに、それらをAIに読み込ませて、
「日時ごとの監視記録として整理してほしい」
と依頼した。
以下は、その出力結果である。
AI出力結果:監視記録概要
対象物件:東京都杉並区内 集合住宅
対象期間:2024年11月3日 22:10〜23:18
記録対象:共用部監視カメラ映像
解析目的:不審者、不審物、異常行動の検出
AIによる総評は以下の通り。
重大な異常は検出されませんでした。
ただし、同一人物と思われる居住者が複数回確認されています。
一部、映像の欠損または照明条件による誤認識の可能性があります。
時系列表
| 時刻 | カメラ位置 | AI判定 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 22:11:04 | 玄関ホール | 居住者1名が入館 | 黒い上着、白いトートバッグ |
| 22:12:18 | エレベーター前 | 同一人物が4階へ移動 | 顔認識率 72% |
| 22:13:02 | 4階廊下 | 401号室前を通過 | 足音なし |
| 22:13:09 | 4階廊下 | 403号室前で停止 | 約6秒間 |
| 22:13:16 | 4階廊下 | 404号室へ入室 | 鍵の使用なし |
| 22:29:44 | 玄関ホール | 居住者1名が入館 | 黒い上着、白いトートバッグ |
| 22:30:51 | エレベーター前 | 同一人物が4階へ移動 | 顔認識率 69% |
| 22:31:33 | 4階廊下 | 404号室前を通過 | 右手に何も持っていない |
| 22:31:40 | 4階廊下 | 403号室前で停止 | 約6秒間 |
| 22:31:47 | 4階廊下 | 401号室へ入室 | 鍵の使用あり |
| 23:02:06 | 4階廊下 | 照明のちらつき | 人物なし |
| 23:02:07 | 4階廊下 | 人物1名を検出 | 直前フレームには存在せず |
| 23:02:10 | 4階廊下 | 403号室前で停止 | 約6秒間 |
| 23:02:16 | 4階廊下 | 人物消失 | 退室・移動は確認できず |
| 23:17:58 | 玄関ホール | 異常なし | 自動ドアが開く |
| 23:18:02 | 玄関ホール | 異常なし | 入退館者なし |

監視記録:AIによる詳細ログ
22:11:04 玄関ホール
人物Aが自動ドアから入館。
黒色の上着、白色のトートバッグを所持。
歩行速度は通常。
顔はカメラ方向を向いていないため、個人識別不可。
AIメモ:
居住者または関係者と推定。
不審行動なし。
トートバッグの形状に変化なし。
22:13:09 4階廊下
人物Aが403号室前で停止。
停止時間は約6秒。
インターホン操作、ノック、鍵の取り出しは確認されない。
その後、404号室方向へ移動。
404号室の扉が開く。
人物Aは室内へ入る。
AIメモ:
鍵の使用は確認できないが、住人による入室と判断。
扉の開閉音は映像に含まれていない。
足音は検出されませんでした。
22:29:44 玄関ホール
人物Aが再度入館。
服装、所持品は22:11の人物と一致。
AIメモ:
同一人物の再入館と推定。
22:13に404号室へ入室しているため、外出記録の欠落がある可能性。
監視カメラの死角、または記録ファイル未提出が考えられます。
22:31:47 4階廊下
人物Aが401号室へ入室。
この時点では鍵の使用が確認されている。
白いトートバッグは所持していない。
AIメモ:
所持品の消失は、画角外に置いた可能性があります。
404号室への入室記録との整合性に注意が必要です。
人物Aは401号室の居住者である可能性が高いです。
音声文字起こし
映像には音声が含まれていないはずだったが、AIは一部区間について「音声解析結果」を出力していた。
管理会社の説明では、該当カメラは映像のみで、マイクは搭載されていない。
以下はAIが生成した文字起こしである。
22:13:09〜22:13:16
……
「ここじゃない」
……
「まだ早い」
AI注記:
音声の信頼度は低いです。
周囲ノイズ、配管音、エレベーター駆動音を人声として誤認識した可能性があります。
22:31:40〜22:31:47
……
「ここでいい」
……
「戻った」
AI注記:
音声の信頼度は低いです。
ただし、前回と声紋が類似しています。
23:02:10〜23:02:16
……
「そこにいない」
……
AI注記:
音声の信頼度は低いです。
話者は1名です。
話者は映像内に存在しません。
間取りメモ
AIは、映像内の廊下や扉の位置から、4階の簡易的な間取りを作成していた。

補足として、以下の説明が添えられていた。
401号室と404号室は廊下の同一側にあります。
403号室前には人物が停止しやすい余白があります。
402号室は映像上、存在しない可能性があります。
ただし、管理会社の物件資料では、4階は以下の並びになっている。

404号室は存在しない。
管理会社への確認メール
以下は、映像を保管していた管理会社へ送られた確認メールの下書きである。
これもAIが自動生成したものだった。
件名:監視カメラ映像内の404号室について
お世話になっております。
共有フォルダ内に保存されていた2024年11月3日分の監視映像について確認です。
AI解析上、4階廊下にて「404号室」への入室記録が複数回検出されています。
しかし、物件資料上は4階に404号室が存在しないようです。
以下についてご確認いただけますでしょうか。
- 404号室の有無
- 2024年11月3日 22:13前後の映像欠損
- 401号室居住者の入退館記録
- 403号室前で停止している人物について
- 音声付きカメラの設置履歴
よろしくお願いいたします。
AIはこのメールの末尾に、なぜか次の一文を追加していた。
なお、404号室の入居者様には直接確認しないでください。
追加出力:AIによる再解析
同じ映像を、別の設定で再解析した。
今度は「不審点を探す」のではなく、
「通常の入退館記録として整理する」
という指示に変更した。
出力は短かった。
通常記録
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 22:11 | 401号室の居住者が帰宅 |
| 22:29 | 401号室の居住者が帰宅 |
| 23:02 | 401号室の居住者が帰宅 |
AIコメント:
すべて通常の帰宅行動です。
404号室への入室は誤検出です。
404号室は存在しません。
404号室は存在しません。
404号室は存在しません。
最後のフレーム
元映像の最後に、1秒未満のフレームがあった。
通常再生ではほとんど見えない。
AIはその画像について、以下の説明を出力している。
23:18:02 玄関ホール
自動ドアが開いている。
外には誰もいない。
ホール内にも人物はいない。
照明は正常。
郵便受けの影に異常なし。
画像内の文字情報:
4F
404
在室
AI注記:
画像内に該当する表示は確認できませんでした。
上記の文字情報は誤認識の可能性があります。
記録は正常です。


